不動産屋まーの雑記ブログ

たわいもない日常や、こんなことしたいと思っていることを書いていきたいと思っています。

不動産取引/山林売買

三重在住、まーです

アウトドアの流行から個人が山を買った等の話をYouTubeなどでよく目にします。

今回は、土地の売買の中で最も難しいなと思っている山林の売買についてお話ししたいと思います。

山林の売り物件、どういう流れに話がくると思いますか?

私がメガソーラーなどの開発案件をしていた頃は、ゴルフ場の計画が頓挫した物件が

ある等、業者さんが個人的に情報をくれたりしました。

同じくバブル崩壊して持ち主が破綻して管財人である弁護士と話をする案件を、

業者さんが持ってきてくれたりもしました。

最近では、どこから回ってきたか分からない資料を業者さんがライン等で送ってくる場合が最も多いです。

LINE等が普及して本当に便利になりましたが、今までパソコンのメールを扱えなかった

人でもLINEは扱いやすいので、簡単に資料が送られるようになりました。

山林に限らず、様々な案件の資料が回ってきますが、回ってきた案件は、世に沢山出回っている案件なのでまず決まりません。

実際に決まる案件は、世に出回っていない物件です。

回ってきた物件資料を見たら調査がズサンかどうかわかります。

その人が実際に山林の売買の実績があるかどうかも、喋ったらわかります。

実際に購入に興味ある人がいる場合は下記の調査を独自に行います。

基本回ってきた資料は参考程度にしか信じないようにしています。

<目の前に見える山林、持ち主は数十人の場合も>

山は1人の方が持っている場合もあれば、多くの方が少しずつ持っている場合もあります。

また、その地域の集落が共同で持っている場合もあります。

山に限らずと大きな土地は地番がいくつもの地番に分かれている場合が多いです。

5万坪で数百の筆数(地番)、数十人の所有者の場合、50万坪で7筆(地番)、所有者が林業をメインとされている1社の場合、100万坪で20筆(地番)、1社の場合もありました。

<山の調査は他の案件より調査費用がかかります>

筆数が多い場合は特に大変です。

法務局で所有者は誰か登記事項証明書を取りますが、オンラインでも1通320円ほど、

500地番があれば所有者を調べるだけで15万円かかります。

事業地の真ん中に他人の土地が混じっていたら大変なのでちゃんと調べます。

銀行融資で物件を購入する場合、他人地が含まれていた場合、銀行は融資しません。

なので、その土地も買って1つの事業地にまとめないといけません。

他人地のままだとその土地上には建物も建てられないので、自由度の低い土地となってしまい価値も下がります。

また調査した結果、明治時代で登記情報が終わっている、土地の所有者の住所が書いていない、大正時代の抵当権が記載されている等、処理に非常にお金も時間もかかる場合や売買不可の場合もあります。

物件を直接見に行かなければなりません。

県外の場合だと交通費も時間もかかります。

そういった手間をかけて良い案件かどうかの判断を短い期間で行います。

<山は大きすぎて、大体しか場所は把握できない場合>

登記事項証明書に記載されている面積が正しいとは限りません。

むしろ限りなく面積が違うと思っています。

一番信用できるのは、県の森林整備事業の為に残してある書類です。

ただし、こちらもあくまでも図面上で面積を図っているだけなので完全ではありません。

山林は面積が大きいので持主同士で境界確定をするなどほぼ不可能です。

大きな木の幹の真ん中を境界の真ん中としてきたなど、非常にアバウトの場合がほとんどです。

その為、面積はおおよその面積と思ってもらうしかありません。

今はGPSで測量できたりしますが昔はそんなのもないですし、林業の場合、土地の面積よりもどんな木が何本植わっているか、そちらの情報の方が大切になります。

その情報も今現在正しいかどうかわからない為、木の所有を目的に物件が欲しい方がいる場合は、今現在の木の本数等の状況が記載されている現況証明書を土地の持ち主に取ってもらいます。

<実際には物件がない場合>

登記簿はあるが、現地に物件がない場合もあります。

このような案件を幽霊案件と呼んでいます。

その地番がどこにあるか、行政すら把握できていない土地、そんな土地でも登記簿があれば売買はできますし、自分のものという証明もできます。

山を買う際はご注意ください。

<立木が登記されている場合>

山林売買で最も注意して欲しい事は、立木が登記されている場合があると言う事です。

気をつけないと、土地は自分のモノになったのに、立木は元の所有者のままという事態になってしまいます。

立木とは、樹木の集団のことを言います。

立木は原則として定着物である為、土地とその法律的運命を共にします。

しかし、立木法により登記(注1)や明認方法(注2)を施された場合には、土地とは個別に取引することができます。

林業を営んでいた山などでは、立木登記がされている場合があるのでご注意ください。

(注1)立木登記

材木業を営む方等、山林は土地より生えている木に価値をおく人たちがいます。

立木を土地と分離して売買する取引が古くから行われてきた為、明治42年に「立木に関する」法律が制定されました。

この法律に基づいて、所有権の保存登記をされた立木は、その限りで不動産として扱われる為、土地と切り離して所有権の移転や抵当権の目的とする事ができます。

土地の登記事項証明書の表題部に立木登記と記載されます。

土地の登記とは別に立木の登記があるという事です。

立木の登記に関してはオンラインにて請求することはできません。

その土地のある法務局に直接行くか郵送してもらうかする必要があります。

ちなみに私が関わった山林では、所有権移転登記費用は土地よりも立木の方が高かったです。

(注2)明認方法

樹木が誰の所有なのかを公示する制度です。

具体的には、立木の皮を削って所有者の名前を書く、立札をたてるなどして誰の所有なのかを示しておく等の方法によって公示すうようです。